剣ヶ峰、石尊山から浅間山を目の前に展望

天気は今にも雨が来そうな気配が濃厚だったが、傘を持ち、思い切って、まずは、石尊山(1667m)を目指す・・・。(9時30分発)

追分から登るのでなく、三石集落の北方の三石追分林道のゲート入り口を、十数分かかり、あちこちうろうろし、やっと探し出した・・・。

最近、あちこちのゲートのある林道周辺の探索が面白くて仕方がない・・・。

大きな浄水場のドーム型の建物の事務所棟の脇に、三石追分林道の入り口のゲートはあった・・・。
ぶら下がっている札の注意書きを見ると、時々、鍵が何者かに壊されているようだ・・・。目撃者に通報を促している・・・。

三石追分林道入り口から、ボツボツと上に向かって、林道を歩き始める・・・。

おそらく、この林道は、途中で、追分からの登山道と一緒になるはずだという予測がばっちりと当たった・・・。

途中、天皇陛下御在位20周年祈念植樹の場所があったり、天皇家とここ軽井沢は昔から縁が深い・・・。石尊山も現在の皇太子殿下が、以前に登られているようだ・・・。

案の定、30分くらい林道を、てくてく歩くと、追分からの登山道と一緒になった・・・。ここから登山道を歩く。

登山道は直線で、北方の石尊山を目指しているが、林道は、森林局の車の専用道路なので、東西にジグザグとやたらにだらだら長い・・・。

登山道の周囲は、山グミの赤い実があちこちにいっぱいぶら下がっていて、口に入れながら歩く・・・。ほんのりとした甘さがじわっと口をつつみこむ・・・。

そこから、数百メートルの間をおいて、二組の登山者達を追い抜き、ぐんぐん上方の石尊山(1667m)を目指す・・・。

左側下方にある川が、さび色で真っ赤になって流れているのが、時々、かいま見え、地獄に居るようで誠に不気味だ・・・。

「血の滝」を過ぎ、「血の池」を通り過ぎると、源泉の湧き水があって、のどが渇いていたので、がぶっと一気に飲んだが、とてもじゃないが、飲めた代物ではない・・・。飲んだ瞬間、気持ちが悪くなってきた・・・。

血なまぐさい匂いと、味、が、水を飲んでいるという感覚を忘れさせてしまう・・・。

これは、鉄分がかなり濃いためだろうと思う、この川は、下流に行くに連れて、急流が空気中の酸素を巻き込み、鉄分が酸化して、真っ赤なさび色を発色していくのにちがいない・・・。

ここを過ぎて、沢沿いから、普通の林間コースに入り、徐々に高度を詰めて行くが、さっぱり、近辺に山のピークらしきものが見えてこない・・・。

尾根らしき状態の所へ出てみると、何とその場所より低い方へ、石尊山山頂の標識が案内されていて、またまた、びっくり・・・。

浅間山の尾根筋の中腹にプクッと出来たおできのような物が「石尊山」だから、いた仕方がない気もする・・・。

低い方でなく、逆に、少し高いほうへ歩いて行って見ると、踏み跡が延々と、浅間の前掛け山の方へ向かっているのが確認された・・・。

途中で引き返し、まずは、標識に従い、石尊山方向へと向かう・・・。

石尊山山頂で、早めの昼を食べていると、おじさんが二人到着し、1850メートル地点(大きな岩に、神部一枝と書かれている地点)まで行って、引き返して来たと言っていた・・・。(11時30分〜11時50分)

一人のおじさんは、三日前に剣ヶ峰まで行ってきたが、高山植物が手ずかずの状態で、荒らされていないのが特徴だと言っていた・・・。

それを聞き、急遽、予定を変更して、石尊山頂上から、浅間の中腹の1850メートル地点を目指して、剣が峰へと向かうコースを行こうとと決める・・・。
一人で動いていると、気楽に今後の方向がアドリブで変更できて楽しい・・・。

途中、石尊山山頂方面の標識付近に座り込んでいた公園パトロールの方と話をし、今、ちょうど12時だから、1850メートル地点までは、あと30分、一杯水までは、また30分、剣ヶ峰(2280メートル)は、まだ、そこから2時間くらいなので、時間と天候と、ご自身の体力を考え合わせて行かれたらどうですか・・・?と貴重なアドバイス有り。

トロールの方からは、慎重に判断してからと言われたが、何も考えないで、すぐに、剣が峰(2280m)方向を目指す事とする・・・。

「一杯水」までは、どうしても早く行き、おいしい水にありつきたいと思った。
「一杯水」で、さっきの口の中の気持ち悪さを、すすごうと思い、どんどんと前へ進んでいく・・・。

1850m地点までは、さっきのおじさん達が歩いてくれて、梅雨を払ってくれてあるのでそれほどではなかったが、その後がいけなかった・・・。

足元が直ぐに、草つきの露で、グシャグシャ濡れ始める・・。もうとっくに、昼を過ぎたというのに・・・。まだ、かなり草つきの露が多いようだ・・・。

そういえば、先ほどのおじさんたちの二人組も、膝下から足元にかけて、かなり濡れてしまったと言っていたのを思い出す・・・。

日中で、この状態だから、朝方だと、もっと、しっかり、びしょっと濡れる事は確実で、朝方、この辺を歩くには、カッパのズボン、ロングスパッツと防水状態の靴が必需品であることを確信する・・・。

つつじが1800メートルくらいまで登って来ると、今が盛りとなって、辺り一面に咲いて来ている・・・。
石尊山頂上よりも、少し送れて咲いて来ているようだ・・・。石尊山の頂上のつつじは、もう終わりかけていたのに・・・。ここのつつじは満開状態だ・・・。

あたり一面、つつじが咲きまくっているので、これだけつつじに囲まれると、つつじにも、株つごとに、微妙に花の色が異なっている種類がある事に気が付く・・・。

1850メートル地点の「神部一枝」と大石に落書きしてある、なだらかな高原状の場所まであっという間に来てしまう・・・。
(12時35分)
ここが、先ほどのおじさんたちが言っていた、1850メートル地点だ・・・。

1850メートル地点を過ぎて、左前方面の剣が峰の側面に近づいて来ているのを感じたら、緩い斜面から、急傾斜の草つきの急斜面が現れた・・・。

一呼吸一呼吸を整えながら、ジグザグと登っていくと、なんとか、「一杯水」の地点までたどり着く・・・。
この場所が、前掛け山(浅間山)と剣が峰のコル(天狗の路地)の真下辺りになるらしい・・・。

ここの「一杯水」は、なんと、一杯のコップに水をためるのに、数分はかかるくらいの細い水のしずくがコケから垂れ落ちている神聖な場所なのだ・・・。
川の始まりのような場所なのだ・・・。

それでも、ここの水は、川の原点の水の味がし、先ほどの「源泉」の血なまぐさい水の雰囲気を一挙に消し飛ばしてくれた・・・。
立て続けに何倍も飲む・・・。

これから、「剣ヶ峰」の頂上まで行くので、ペットボトルに、目一杯清水を入れて、剣ヶ峰頂上を目指す・・・。まずは、頂上に着いたら、このおいしい水をごくごくと飲もう・・・。

もう、ここから「天狗の路地」までは、直ぐそこらしい・・・。
上の方の林が切れて、少し上が明るく開けているような気配がするからだ・・・。

古い「石道標」が倒れ掛かっており、天狗の路地まで着くと、道が微妙に二つに分かれている・・・。

さて、どっちの道にしようかと迷う・・・。一つは天狗の遊び場で、もう一つは剣が峰方面のはずだ・・・。

どちらかというと、少しだけはっきりしている左側の道をたどり始めると、どんどんと、左上の稜線を目がけて登り始めて行くではないか・・・。
やはり、この道が、剣が峰頂上方面に間違いない事を確信する・・・。

時折、背後の林の隙間から見える浅間山(前掛け山)頂上には、10人以上の人達が意外なほど近くに立って並んでいるのが見えてびっくり・・・。
どうやら、ラッキーにも、風が吹き始めて来て、雲が少しづつ切れてきたようだ・・・。

まもなく、森林限界を飛び出して、草付きのところを、這い松としゃくなげのブッシュにつかまりながら、ジグザグと登るうちに、とうとう岩稜帯に出て、やがて、剣が峰の頂上まで一気にたどり着いてしまった・・・。

いいのか悪いのか、通路のところにお花が一杯咲いていて踏み込んで進んでいくしか仕方がない・・・。

葉なのか弁なのか良く分からない高山石楠花のうす黄色いクリーム色の花があちこちに咲き始めてきている・・・。

対岸の黒斑、トーミの頭、蛇骨岳、Jバンドの稜線、前掛け山、上田方面の町々、そして眼下に、牙山、火山館の建物、湯の平、天狗の遊び場など、眺望が一気に開けたのにはびっくり・・・。

前掛け山(浅間山)も、少し、雲がかかったりしてはいるものの、目の前に圧倒的なスケールで良く見える・・・。(午後2時少し前くらいか)

返す返すも、デジカメを持参してこなかったのが悔やまれる・・・。登山道が狭いので、持って歩いていた傘の取っ手がブッシュの枝に何回も引っかかり、手を焼く・・・。

そして、この時期、「虫対策」がかかせないと思った・・・。
目の中に飛び込んでくる虫達や、目の前がワンワンと黒い虫の集団に囲まれて、なんとかならないものかとつくづく思ってしまった・・・。

少しつばがある帽子に、首まで被れる網目状のゆるいタイツ状の大きなストッキングかなんかが良いのではないか・・・?と思うが・・・。

帰りは、登ってきた道筋を、そのまま忠実に引き返すことにする・・・。最初は急傾斜をずり降りる事になる・・・。

頂上から真南に、そのまま、剣が峰のスカイラインの稜線を降りていくと、浅間山荘方面に行ってしまうようだ・・・。
登ってきた急傾斜を木々に掴まりながら、なんとか天狗の庭まで戻る・・・。

一杯水で、また、たっぷりと水を飲み、つつじに囲まれながら、だらだらと、前掛け山(浅間山)の斜面を斜めに歩き、石尊山の手前まで来た・・・。

表登山道を降り、「亜硫酸ガス発生危険地」、「おはぐろ池」「血の池」「血の滝」を過ぎて、川に沿った登山道をぐんぐん降る・・・。

公園パトロールの方が軽自動車を停めていた駐車場に出て、しばらくの間、水平林道を歩き、途中から、「座禅窟」探しにうろうろと、約一時間くらい時間を費やしてしまった・・・。
(午後3時から4時付近まで)

「座禅窟」までは、ふだん、あまり、人が来ないらしく、荒れた廃道となっている・・・。

入り口の看板も良く書かれたものがなく迷ってしまう・・・。
途中であきらめたが、結局、大きな岩がある場所を探し出し、ジメジメシした「座禅窟」を発見・・・。

昔、浅間山の噴火にも無関係で、安全に修行出来る場所として、このような場所で、座禅の修行を集中的にしたらしい・・・。

ほどなく、山の中に大きな岩があり、僧が長期間こもったと言い伝えられている。
石尊山の何面に「自然窟」が50メートルくらい距離を置き、二つ上下に並んでいた・・・。観たところ、小さな洞窟のように感じるが、何人もの人が、ここで同時に修行していたらしい・・・。

下の集落のお寺から、ここまで、わざわざ登ってきて修行をしたのかと思うと、昔の人は、「体力」、「胆力」が、すごく、あったんだなとつくづくと思い知らされる・・・。それとも強固な信仰心がそうさせえたのか分からない?

さてと、現代人の自分も、朝の9時過ぎから、午後の5時00分少し前まで、合計8時間くらい、よく歩き続けられたものだ
と自分でもつくづく感心する・・・。

実際は、山へ来る前に、朝の3時に起きて、6時30分頃まで、畑に居て、草取りをしていたので、若い頃なら何でもないことだけれど、夕方になってくると、還暦過ぎの人間には、少々疲れが出てくるようだ・・・。

これから、当分の間、浅間山周辺に目標地点を絞り込み、林道界隈をゆっくりと探索をしてみようと思っていた矢先の「剣ヶ峰」「石尊山」で、今日は、今後のいい足ががりとなった一日だったような気がする・・・。